O-Flex ビジネス・コンサルティングについて

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O-Flexの理念:
パートナー型独立診断士を育成することにより、日本の中小企業の付加価値生産性向上に貢献する

少子高齢化が進む日本社会が今までの豊かさを維持していこうとするならば、皆さんご承知の通り、一人当たり付加価値生産性の向上が喫緊の課題となります。

ここで、現在の産業の生産性の源の大部分は知的労働です。このことは、クライアント企業の知的生産性の向上に取り組むコンサルタントの役割が今後ますます重要になることを示しています。

とくに、日本の付加価値の(製造業で)50%程度を占める中小企業は、大企業に比べて生産性が低いことで知られています。この中小企業の改革に取り組むことが使命の中小企業診断士の責任は重大です。

企業の生産性向上のためには、それに取り組むコンサルタント自身の生産性向上が不可欠となります。コンサルタントの生産性といえば、取り組む案件の問題解決の生産性に目が向きますが、コンサルティング営業の生産性も無視できません。

というのは、コンサルティングは売るのが難しい財だからです。

一般に財には次の3種類があります。(この詳しい事例については、道端の経営学 という本を参照ください。)

探索財
    • 探索財とは、購入前の情報収集によって、ある程度までは品質を判断できる商品やサービス(葬儀サービスなど)を指す。ただし、調査のためには手間や時間がかかる
経験財
    • 経験財とは、購入前の情報収集では品質の判断が難しく、購入し消費して初めて品質を確認できる商品(ゲームなど)やサービスを指す。経験財の場合、消費者の選択に大きな影響を与える要素は評判である。過去にその企業から商品を買った自分自身の経験や、他の顧客や第三者の推薦に基づいた評判が、消費行動を左右する
信用財
    • 信用財とは、購入して消費したあとでもなお、品質の判断が難しいか、少なくとも長期にわたって品質が確かめられない商品やサービス(年金の積立や地下の防水工事、大学教育など)を指す。信用財のブランドは、信頼性や確実性を基盤に築かれる

この中で、コンサルティングは保険と同種の売買に一番手間がかかる信用財です。保険と同じで、買い手は商品そのものではなく売り手を信用して買うのです。

よくコンサルティングを売るには口コミが大事だと言われますが、これは正しくありません。口コミで売れるのは、商品です。

コンサルティングという商品は、それを提供するコンサルタントと分けて評価することは不可能です。ですから、コンサルタント自身の信用性をもとに契約がなされるのです。このクライアントがコンサルタントを信用するまでの時間がかかることが、コンサルティングの生産性を下げている大きな要因なのです。

ですから、コンサルティングの生産性を上げるためには、コンサルタントは問題解決能力の向上に取り組むだけではなく、クライアントから信用される存在になる、すなわちパートナー型コンサルタントになることも考えなければなりません。

コンサルティング・ファームでは、パートナー型コンサルタントのロール・モデルが存在し、社内でキャリアを積みながら、そこに到達する道が開かれています。しかし、独立診断士には、このような成長支援の仕組が存在せず、日本の中小企業の成長性向上に真に貢献できる人材がなかなか育ちません。

以上の理由から、O-Flex ビジネス・コンサルティングは、パートナー型独立診断士を育成し、お互いが成長を助け合うコミュニティを確立することで、日本社会の付加価値生産性向上に貢献することを目指します。

O-Flex ビジネス・コンサルティング概要

名称

O-Flex ビジネス・コンサルティング

所在地

〒107-0052 東京都港区赤坂 9-6-28-305

代表者

福永 光一

設立

2011年

プロフィール: O-Flex ビジネス・コンサルティング代表 福永光一

東京大学大学院卒、工学博士。三菱総合研究所、IBM東京基礎研究所を経てIBMコンサルティンググループに異動し、役員待遇のパートナーと技術理事を兼任。

有名企業の潰れかけていた電子部品事業部のNOKIAからの受注率を大幅に向上させるなどで、600人を超える製造業担当コンサルタントの中TOP1%に入り、クライアントチームに社長賞を3回受賞させる。最低でも3人3ヶ月3000万という高額にもかかわらず、一度も値引き交渉に応じることなく継続した顧問先を確保した経験から、社内コンサルタントを指導する立場に。

九州工業大学大学院の客員教授、法政大学大学院のMBAコースの客員教授及び兼任講師を務め、2009年にIBMを定年退職。その後、オラクルの統括本部長を務める。

現在は投資持株会社 Japan Perpetual Holdings の取締役として、傘下の本来はポテンシャルがあるにもかかわらず何らかの経営上の問題を抱えている中小企業の経営改革を指導するとともに、O-Flex ビジネス・コンサルティング代表として後進の育成に情熱を注いでいる。

 

O-Flex ビジネス・コンサルティング代表のコンサルティングおよびビジネススクール指導の実績(詳細)

コンサルティング業績

  • 主としてエレクトロニクス関係の企業に対し、企業が時代環境に合わせるために必要となるビジネスネス・プロセス改革を実施し、大きなビジネス効果を実現するとともに、クライアント・チームの社長賞受賞(3回)などに貢献
  • ファブレス企業のサプライチェーン・プロセス設計

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  • クライアント企業の中国購買センター設立
  • 製品開発ポートフォリオ管理プロセス構築により、最重要顧客からの受注率を20%から60%に向上
  • 部品カテゴリー別集中調達管理体制の構築で、部品購買額480億円に対し12%(約60億円)のコスト削減
  • サプライチェーン改革(生販在管理プロセス改革、生産・物流リードタイム短縮、販社販売予測精度向上、戦略的在庫管理の導入、など)で、リーマンショック時に競合より一早く在庫削減を実現することにより、新製品の積極的な市場投入を可能にして市場シェア増大
  • 以上の結果として、ある1兆円企業のクライアント・パートナーとして、独力で年間数億円の売上を達成

法政ビジネススクールでの修士論文指導実績

  • 「中小企業向け現地法人の人事管理に関する提言」
  • 「元気のある企業から学ぶ、ソリューションを提供し続ける企業になるためのコンサルティング」
  • 「脱下請け戦略営業コンサルティング企業の設立」
  • 「モノは売り方を変えればもっと売れる。売り方に合った販売体制を構築する」
  • 「溶接構造物製造企業への生産性向上支援コンサルティング」
  • 「QC活動によるパートさんの多能工化と生産性の向上」
  • 「富裕層のためのファミリーオフィス・ビジネス」
  • 「ソリューション事業の収益性改革 — 利益を伴う成長に向けて」
  • 「研修の先まで範囲を広げる能力開発コンサルティングの営業展開」
  • 「日常の中に着物の新市場を創る」
  • 「産業財部品メーカーの新市場開拓戦略: 最終顧客を創る」
  • 「カタカナ系生保の小規模代理店のための新たな信用財販売メソッド」
  • 「生産財メーカー向け既存顧客深耕営業コンサルティング」
  • 「汎用品取り扱い中小企業のBtoB新規開拓営業手法」
  • 「中小企業への営業プロセス導入による売上の向上」
  • 「フルタイムでの働き方が難しいハイスキル人材をベンチャー企業がジョブ型での雇用を促進するプロジェクト」
  • 「こうすれば大企業に勝てる 先端技術型中堅 BtoB 企業の採用問題の解決策」

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O-Flexの名前の由来:コンサルタントに求められるものは「機敏さ」(Opportunistic Flexibility)

「O-Flex ビジネス・コンサルティング」という名前は、Opportunistic Flexibility を略したもので、ウィリアム・ダガンの「戦略は直感に従う」という本について W. Easterly が書いたWall Street Journalの書評から取りました。

少し長いですが、その書評の書き出しを以下に引用します。

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Set big goals. Do whatever it takes to reach them. These muscular sentences form the core of commencement addresses, business-advice books, political movements and even the United Nations approach to global poverty. In “Strategic Intuition,” a concise and entertaining treatise on human achievement, William Duggan says that such pronouncements are not only banal but wrong.

Mr. Duggan, who teaches strategy at Columbia Business School, argues that the commonplace formula has it backward. Instead of setting goals first, he says, it is better to watch for opportunities with large payoffs at low costs and only then set your goals. That is what innovators throughout history have done, as Mr. Duggan shows in a deliriously fast-paced tour of history.

この赤字の部分を指して、Easterly は Opportunistic Flexibility と呼んでいます。ダガンによると、ナポレオンが連戦連勝したのは、自軍が優位に立てる場所を見つけるまで移動を続け、優位と見るや一気に攻めにかかったからだと言うことです。また、ビル・ゲーツがMS-DOSで成功を収めたのも、ハードではなくソフトに価値があることに気づくとすぐさま方針を変更し、当時優勢だったCP/MがぐずぐずしているうちにIBMとの契約を勝ち取ったからだというのは、我々の世代は良く記憶していることです。彼らは、「機を見るに敏」だったのであり、決して先に大きなゴールを掲げ、次にそのゴールをどうやって実現しようか、と言う順で考えた訳ではなかったのです。

この言葉は、私の経験から根ざす個人信念を的確に表現してくれているので、それを事業の名前とすることに決めました。その信念の背景を示すために、事例を少し長く説明します。(お客様のビジネスそのもので起こったことを書くと支障があるので、コンサルタントとしての自分自身の事例を挙げます。)

随分前に大手電機メーカーの電子部品子会社のコンサルティングをした時のことです。私は、そのプロジェクトに後から入ったのですが、率直に言ってプロジェクトは行き詰まっていました。全社改革構想はぶち上げたものの、今一つお客様の本気度に欠ける状態でしたし、コンサルタント側も後続の業務プロセス設計の段階で具体化しあぐねている状況でした。当然、プロジェクト予算も縮小傾向となって行きました。

このじり貧状況から抜け出すため、プロセスを作ってから適用すると言う順ではなく、現場に飛び込んで問題を解決することをさせてくれるようにプロジェクト・スポンサーに申し込んだところ、「つぶれかけている小さな事業ユニットがある。そこでも良ければいいが、どうか?」と言われました。私には、これが上述の Opportunity with large payoffs だと直感し、「やらせてください!」と即答しました。つぶれかけているのでこれ以上悪くなり得ない、メンバーも必死だろうからやり方を間違えなければ必ず良くなる、と言うのが、非常に単純ですが、その直感の根拠でした。

その事業ユニットは、最大の顧客A社からの翌々年度の受注が激減し、「呆然自失状態」と自嘲していました。受注減少の理由は、A社からスペックをもらってそれを満たす部品を作るまでの時間が競合他社よりかかっているからでした。A社は常時サプライヤーを評価しており、その評価の高い上位5社にスペックを出すと言うやり方をしており、お客様の評価は3位から4位に下がった所だったので、この傾向が続くと6位以下の圏外になりかねません。

ただ少し考えてみれば分ることですが、この問題の原因は一つしかあり得ません。それは、エンジニアのキャパシティに対して開発プロジェクトを詰め込みすぎていると言うことです。お客様に確認すると、「それはあり得る、そうかもしれない」とのことです。ただ、本当にそうだとは誰も言い切れず、例えそうだとしても営業やA社に「これだけしか引き受けられない」と言い出せないのが問題の根源だと言う仮説を立てました。この仮説を立てて邁進するのには度胸が要りますが、この度胸があったから Opportunity with large payoffs が見えたと言う訳です。

好機(Opportunity) はその後も続きます。まず、プロジェクトのリーダーとして営業の人がアサインされました。「しめた!」と思い、事業ユニットの実態を徹底して洗い出し、如何に不合理なプロジェクトの詰め込みをしているかを明示しました。リーダーは、そのデータを見るや否や、「自分たちはこんな馬鹿なことをやっているのか!」と言って、事業ユニット長の所に飛んで行きました。その後はトントン拍子で、エンジニアのキャパシティの測定や、事業のポートフォリオ分析(どれを捨てるか)等の作業が進みました。

そうこうするうちに、ふとした会話からA社との定期会合が行われることを知りました。この機会を逃すと、改革のタイミングが遅れるので、受注範囲を絞る交渉をするよう進言(お客様には躊躇いがあったので、実際は強く主張)しました。A社の購買の方の反応はあっけなく、「仰ることは良く分かります。貴社の体力から考えると、それが合理的かもしれませんね」というもので、その後、A社からの受注率は結果的に大きく向上しました。

長々と書きましたが、ビジネスが良くなるには必ず何かの(それも一連の)キッカケがあり、それを生かすか生かさないかで、その後の道が大きく変わるのだと思います。そのような事例は、その後のコンサルティングでも数多く経験しています。

情報処理学会デジタル・プラクティス誌への解説論文「コンサルティング論」でも書きましたが、コンサルティングと言うのは「人の問題を解決する職業」です。ここで、問題とは「望む姿」と「現状」のギャップを指すはずです。したがって、コンサルティングに際しては、「望む姿」と「現状」の双方を明らかにすることが必要になりますが、そのどちらかにバイアスしがちです。「現状」に傾けば、現状改善型になりがちで、大きな成果は望めません。逆に、「望む姿」に傾くと、冒頭の「大きなゴールをセットして、そこに到達するためになんでもやる」というダガンが揶揄するアプローチになります。

これらのアンバランスを避け、お客様とともに迅速に大きな成果を挙げ続けるコンサルタントでありたいと思います。その意図を込めて、「O-Flex ビジネス・コンサルティング」という名前を掲げた次第です。

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